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映画のおまけです。

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フランク・ペーター・ツィンマーマン ~ チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲 

2022, 02. 18 (Fri) 00:00

ツィンマーマンのバッハを聴いたせいで、ツィンマーマンのCDをさらに買いたくなったので、試聴だけで終わっていたベートーヴェンのヴァイオリンソナタ全集をNMLでまた聴いた。以前の印象と同じく、ヘルムヒェンのピアノが私の好みと全然合わなかった。フォルテの打鍵が強すぎてアタック音が騒々しくて、ヴァイオリンの音を聴く邪魔になる。今回聴き直してもやっぱりピアノがどうにも好きになれない。結局、買ったのはチャイコフスキーとブラームスのヴァイオリン協奏曲のCD2枚。

↓のライブ映像が面白かったチャイオフスキーのヴァイオリン協奏曲。伴奏はロリン・マゼール指揮バイエルン放送交響楽団。1993年プリンツレーゲンテン劇場の演奏らしい。(DVDが発売されている)
ピアノと違ってヴァイオリンは自分で全然弾けないので、難易度高そうなパッセージの弾き方を見るだけでも面白い。左手の運指とツィンマーマンの表情の変化(目がパッチリでニカっと笑ってたりする)を見るのが面白かったおかげで、苦手のチャイコフスキーなのに最後まで楽しく聴けた(観れた)。

Tchaikovsky violín Concerto in D Major Op. 35 Frank Peter Zimmermann.


ツィンマーマンのチャイコフスキー録音(CD)は2種類。買ったのは2001年再録音の方。伴奏はホーネック指揮オスロ・フィル。
試聴ファイルは聴かなかったけど、録音時間から判断すると旧録音よりもテンポが速いし、38歳くらいの演奏なので旧盤よりも私の好みに合いそうだった。
CDで聴くと、期待通り音質が良くてヴァイオリンがかなり前面から明瞭に聴こえるし、旧盤やDVDとは違ってヴァイオリンは「レディ・インチクイン」で、音色がまろやか。さらに、ツィンマーマンのヴァイオリンは、チャイコフスキー独特のベタっとした粘着的な響きや情感を感じさせず、明朗で伸びやかで明るい響きが爽やか。オケの響きもすっきり透明感があるので、音色と歌い回しが私の好みにぴったり合っていた。この曲自体が凄く聴くというわけではなくても、細かな旋律の動きを耳で聴くのも面白い。

チャイコフスキー、ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲
(2007/9/19)
ツィンマーマン, ホーネック, ベルグルント, オスロ・フィル, ロイヤル・フィル

試聴ファイルなし



旧盤はマゼール指揮ベルリン・フィル(1987年録音)。カップリングはプロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番(別盤のCD持っている)
録音年が古すぎるのと(30歳以降の演奏を聴きたい)、第1楽章のテンポが遅すぎるので、CD買わなかった。
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
(2005/10/26)
ツィンマーマン, マゼール, ベルリン・フィル

試聴ファイルなし


ヴァイオリン協奏曲で一番好きなのは、シベリウスとブラームス。ヴァイオリン協奏曲の技巧的な難易度を調べてみたら、↓の作品解説によれば、(個人的感覚から言うと)シベリウスは本当に難しくて、「メンデルスゾーン、ブルッフの8倍、チャイコフスキーの5倍ぐらい、ブラームス、パガニーニ、バルトークよりも更に難しい」という実感だそう。そういえば、ツィンマーマンはシベリウスを「難しいパッセージが多くてタイトロープ(綱渡り)のようだ」と言っていたのを思い出した。
シベリウス バイオリン協奏曲 ニ短調 作品47[新交響楽団 前田知加子(ヴァイオリン)]

タグ:チャイコフスキー ツィンマーマン

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ジム・ブランデンバーグ『白いオオカミ-北極の伝説に生きる』 

2022, 02. 12 (Sat) 14:00

オオカミ写真集を探していて見つけたのは、オオカミを撮り続けている写真家として有名なジム・ブランデンバーグの写真集。代表作は野生の森林オオカミの写真集『ブラザー・ウルフ―われらが兄弟、オオカミ』。その数年前に撮影した『白いオオカミ 北極の伝説に生きる』は、北極圏にあるカナダ最北部エルズミア島に生息している野生の北極オオカミの写真集。

私が好きなのは、『白いオオカミ 北極の伝説に生きる』の方。元々極地関係のノンフィクションが好きなのに加えて、『ブラザー・ウルフ』よりも印象に残る写真がかなり多かった。
人間の住んでいない雪と氷で真っ白な世界と白い毛皮のオオカミたちの姿がどちらも美しい。人間に絶滅寸前に追い込まれ今も駆除される危険があるため人間を警戒する森林オオカミと違って、人間と接触することがほとんどないエルズミア島の北極オオカミたちは人間を恐れない。そもそも森よりも隠れる場所が少ないこともあり、オオカミたちの行動が観察しやすく、いろいろな写真からオオカミの生態(ヒエラルキー、狩り、食事、遊び、子育て、など)が垣間見れる。
オオカミたちの写真に加えて、ブランデンバーグの文章が上手く、臨場感とストーリー性のある撮影日記が面白い。

白いオオカミ―北極の伝説に生きる
(1992/12/1)
Jim Brandenberg (原著), 太地 実 (翻訳), ジム ブランデンバーグ


極寒の原野でホッキョクオオカミと対峙した[National Geographic]
エルズミア島は完全な無人島ではない。島の西岸にある測候所「ユーレカ」にはスタッフが常駐、一番近い集落は約400キロ南のグリス・フィヨルドで人口100人強。オオカミたちが日常的に人間と接触することもなく、オオカミに襲われる家畜もいない土地なので、人間と敵対することも、駆除されることもない。

とりわけ面白いと思った構図の写真が2点。一つはカバー写真に使われている北極海の浮氷をぴょんと跳んで渡ろうとしている狼。(この写真を見てすぐに連想したのは、アンリ・カルティエ=ブレッソンの有名な写真《サン=ラザール駅裏》-水たまりの上を飛び跳ねる男。)
もう一つは、日陰になっている氷山の中に座るオオカミのリーダー(名付けた名前は”バスター”)を陽光が照らしている写真。両方とも一度観たら忘れられない写真。

エルズミア島のオオカミたちは人間を恐れて姿を隠すこともせず、逆に好奇心を抱いて密かに観察していたことを物語るエピソードも面白い。
ブランデンバーグと同行の生物学者がキャンプを離れている間に、オオカミたちがキャンプを襲って食料はほとんど食べ尽くし、寝袋などは噛み切って穴だらけ、装備はあたりに散乱と、かなり派手に荒らしていた。
また、撮影期間満了で島を去るため、キャンプから10km離れた飛行機発着地点に四駆で到着すると、子供たちを連れたオオカミたちが遠巻きに彼らを見ていた。人間がキャンプを離れるのを見たオオカミたちが、ジープを追跡して10kmも走り続けたに違いない。獲物を追うのに慣れているオオカミにとっては、ジープと同じ速度で10kmを走るくらいは大したことではないらしい。


北極オオカミを撮影した時の記録映像。
The Mysterious White Wolf


The White Wolf Story


動画には写真集に載っているシーンがたくさん映っている。写真集を持っていなくても、この映像があれば十分楽しめる。ジャコウウシの群れを襲って子牛を仕留めるところは、写真集でも何枚か載っていたけど、映像で見ると臨場感で迫力満点。
写真集の良いところは、捉えた瞬間のシーンが映像よりも大きく映っているし、映像では見られない写真も多々あり、さらにオオカミたちの生活の様子を解説したブランデンバークの文章が読めること。

最後の方で映っている子オオカミの映像は、母オオカミのマムが見守るなかをブランデンバーグが巣穴奥深くに入って撮影したもの。マムは唸ることもせず、じっと様子を見ている。それまでのブランデンバーグの行動を観察した経験から、彼が危険な存在ではないと見なしているようだ。

これもエルズミア島の北極オオカミのドキュメンタリー。新しい映像なので画質が鮮明で色合いも鮮やか。
Canada's White Wolves: Ghosts Of The Arctic | 4K Wildlife Documentary | Real Wild


『ブラザー・ウルフ―われらが兄弟、オオカミ』は、北極オオカミの撮影から数年後、カナダにある自宅周辺の森林オオカミを撮影した写真集。
ブラザー・ウルフ―われらが兄弟、オオカミ
(1995/4/1)
ジム・ブランデンバーグ (著, 写真), Jim Brandenburg (原著), 中村 健 (翻訳), 大沢 郁枝 (翻訳)


北極オオカミと違って、人間を警戒する野生の森林オオカミの撮影は難しいという。
この写真集は図書館で借りて内容を確認したけど、文章量が多く写真が若干少なく感じたのと、オオカミ以外の動物と自然の風景写真が多かったので、私の好みとは違っていた。文章の内容も、撮影した森林オオカミの生態や行動の話よりも、オオカミ一般の話(犬との繋がり、進化、神話・伝説、人間との関係など)が多い。
ほぼ観察・撮影記録の『白いオオカミ』と違い、『ブラザー・ウルフ』の森林オオカミは、人間を警戒しているためその生態を詳細に観察するのは難しいようなので、撮影ルポは少ない。そのなかではワタリガラスの話はちょっと面白い。オオカミの食べ残しを食べたいためか、オオカミに獲物の場所を知らせるように鳴いている。

『オオカミと野生のイヌ』には、『白いオオカミ』の有名な写真数点が掲載されている。カバー写真は、たぶん『ブラザー・ウルフ』に載っていたと思う。最初はこちらを買おうかと思っていたけど、ブランデンバーグの写真が小さくて多くはないし、内容もオオカミより野生のイヌに関するページがはるかに多いのでパス。

ポール・ルイス ~ ブラームス/後期ピアノ作品集 

2022, 02. 06 (Sun) 20:00

ポール・ルイスの新譜『ブラームス/後期ピアノ作品集』は折り重なる響きのタペストリーが変幻自在で、聴けば聴くほど素晴らしい。ルイスらしい柔らかな響きと淡い情感のなかに、繊細なニュアンスが漂い、霞のように深くもやもやした響きに包まれるような感覚が独特。大好きなブラームスがまた一つ増えたのが嬉しい。

Brahms: Late Piano Works, Opp. 116-119
(2022/1/21)
Lewis, Paul

試聴ファイル
※ハイドンはスリーブケース入りのプラケースだったけど、シューベルトやブラームスはデジパック。

収録曲は《幻想曲集 Op.116》、《3つの間奏曲 Op.117》、《6つの小品 Op.118》、《4つの小品 Op.119》。
全体的に緩めのテンポで(特に緩徐系の曲。演奏時間は合計77分)、フォルテの力感は少し抑え気味でも、線のしっかりした音なので重みと安定感があって、綺麗なタッチと響きのフォルテ。粘りがないタッチで響きもまろやかで丸みがあり、響きも軽く柔らかで残響が厚く重なり合っても(急速系で重音が多い曲でも)、重たさも混濁感も全然感じない。
ルバートは控えめでリズムも(ハフに比べると)若干緩め。フレージングは滑らかで起伏の変化もスムーズ。陰翳は薄めで繊細ながらもベタつきのない情感が心地よい。
たぶんテルデック・スタジオ(ベルリン)の残響自体はそれほど多くなく(減衰が速く感じる)、小刻みにできるだけ長くペダルを入れて残響を長く厚くし、巧みなペダルワークで残響の厚みと長さを自在にコントロールしているような感じ。霞のように深く立ち込めた残響でも全然混濁感を感じさせず、多彩な響きの重なりをスムースに変化させるところが、本当に上手いと思う。


テンポの速く音の密度が高い曲では、波が打ち寄せては引いていくように、厚い響きの重なりがすっと消えてはまた現れるような感じ。
7 Fantasies, Op. 116: No. 3, Capriccio in G Minor. Allegro passionato


7 Fantasies, Op. 116: No. 7, Capriccio in D Minor. Allegro agitato



緩徐系の曲はルイスの優しく語りかけるような柔らかい弱音が良く映える。
3 intermezzi, Op. 117: No. 1, Intermezzo in E-Flat Major. Andante moderato


3 intermezzi, Op. 117: No. 2, Intermezzo in B-Flat Minor. Andante non troppo e con molto...


6 Pieces, Op. 118: No. 2, Intermezzo in A Major. Andante teneramente


6 Pieces, Op. 118: No. 5, Romanze in F Major. Andante



このアルバムの中では一番陰鬱で曖昧模糊とした曲。ルイスのピアノなら響きが一層幻想的でミステリアスに聴こえる。
6 Pieces, Op. 118: No. 6, Intermezzo in E-Flat Minor. Andante, largo e mesto



この曲はもともと陰鬱で寂寥感が濃いと思うけど、ルイスのピアノはそれほど鬱々と暗くもなく、澄んだ水のような潤いと透明感があって、この弾き方はとても好き。(一番好きな演奏は速いテンポで起伏が大きく動きのあるカッチェン
4 Pieces, Op. 119: No. 1, Intermezzo in B Minor. Adagio


タグ:ブラームス ルイス

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『Der Wolf: Wild und faszinierend』 

2022, 01. 31 (Mon) 00:00

表紙のオオカミの姿に魅せられて衝動買いしてしまったドイツ語版オオカミ写真集『Der Wolf: Wild und faszinierend』。

【刀剣乱舞】根付マスコットチャーム 蛍丸 2点セット
(2017/8/1)
Shaun Ellis (著), Monty Sloan (写真)



<目次>(英語訳と日本語訳)
RELATED SOULS/繋がっている(同族の、親族の)魂(文:作家Shaun Ellis)
IN FRONT OF THE CAMERA/カメラの前で(文:写真家Monty Sloan)
THE SPIRIT OF THE WOLF/狼のスピリッツ
THE MYTH OF WOLF/狼の神話
THE PACK/群れ
ON THE HUNT/獲物を求めて
REPRODUCTION/繁殖
PROTECTIVE MEASURES/保護政策
REGISTER/インデックス

表紙カバーは付いていない。表紙の写真は、頭だけ低くしているので、「遊ぼうよ!」と誘っている姿(プレイバウ)なんだろうか。以前に飼っていた犬たちも似たような姿勢で遊ぼうと催促してきた。(でも、前足も開いていないし、頭の位置が低すぎるような気がする)
本文にも掲載されているこの写真のキャプションを翻訳すると「重要なコミュニケーションのサイン:姿勢は、近距離でのコミュニケーションの最も重要な手段の1つです。それに加えて、 顔の表情、耳と尻尾の位置、首の毛を真っすぐ伸ばすこと、特定の声音もあります。」

265頁に大小とりまぜて200枚以上の写真を掲載。文章は全てドイツ語(元々の英文をドイツ語訳)。大学時代に第二外国語でドイツ語を選択したとはいえ数十年前の事で、構文や文法は大体覚えていてもボキャブラがないので、序文・本文・キャプション全てDeepL翻訳で日本語に訳した。ドイツ語入力にかなり時間はかかったけど、その甲斐あって文意は大体わかる(精度80%~90%くらい)ので、結果的に日本語版を買ったのとほぼ同じ。ハードカバーなのに1700円台と安いわりに写真はたくさん載っているし、キャプション含めて文章量も多いし、掘り出し物の写真集だった。

オオカミ(単独・複数)の表情・仕草・動作をズームにした体や(特に)顔だけの写真が多い。遠吠えするオオカミの写真だけで30枚くらいある(多すぎる)。獲物の骨や肉を咥えたり、食べている写真は10枚ほどあり、獲物(たぶんシカ)の長い片足を咥えている写真がとてもリアルで生々しく、面白いというか、不気味というか...。
狼の豊かな表情や動いている時の躍動感、人間関係ならぬ”狼”関係が伝わってくるような生き生きとした写真が多い。特に好きな写真は、雄と雌の2頭のオオカミが嬉しそうにお互いの口を舌でペロっと舐めている写真。「繁殖」の章だけでなく、見返しにも載っているくらいに、愛情溢れる優しいオオカミの表情が微笑ましい写真。

オオカミのズーム写真に比べると、大きな自然の風景を背景にして行動する姿が少なく、同じシーンの連写や遠吠えしている姿など似たような構図の写真も多い。そのなかでは、バイソンを群れで取り囲んで仕留めようとしている写真(異なるアングルで数枚)に狩りをするオオカミの躍動感が良く出ている。

本文の解説文を書いているショーン・エリスは、実際に狼たちと一緒に2年間も暮らしたノンフィクション『狼の群れと暮らした男』の著者として有名。
洗濯機 お湯取りホース
(2012/8/24)
ショーン エリス (著), ペニー ジューノ (著), 小牟田 康彦 (翻訳)

ウルフマンはなぜそこまでするのか? 『狼の群れと暮らした男』 土屋 敦

写真家Monty Sloanの序文によれば、 この写真集は彼が働いている”Wolf Park”(米国インディアナ州)で撮影。面積70エーカー(約28ha、東京ディズニーランドの6割くらいの面積)の”Wolf Park”には捕獲された狼の群れが飼育されており、野生では捉えることが困難な行動を撮影が可能だったとのこと。
序文を訳すまでは、てっきり野生のオオカミの写真だとばかり思っていたけど、野生のオオカミの写真(特に森林オオカミ)を撮るのは難しいらしい。(米国ではオオカミを駆除するのを政府が奨励したため絶滅寸前まで頭数が激減し、その後一時的にわずかばかり頭数が回復したとはいえ、駆除される危険性は高いので人間を警戒している)。
↓の動画のように、野生のオオカミと違って人に慣れているオオカミなので、かなり近い距離から撮影できたから、狼の表情の豊かさや動きの躍動感を上手く捉らえている。

How to Photograph Wolves at Wolf Park


写真家に群がって入れ代わり立ち代わり彼の顔をベロベロ舐めているオオカミたちの様子は何度見ても面白い。
この”Wolf Park”のオオカミたち、ちょっと太り気味じゃないだろうか? 映像でみたイエローストーン国立公園や北極で暮らしている野生のオオカミたちはお腹も足も引き締まっていた。保護施設にいると、野生のオオカミのように獲物を追って長時間走り続けることもないだろうから、人間が与えるエサの食べ過ぎ(別の動画ではアイスクリームやケーキを食べさせていた)と運動不足じゃないかと思う。

フランク・ペーター・ツィンマーマン ~ バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ Vol.1 

2022, 01. 25 (Tue) 00:00

BISサイトの試聴ファイルで全曲聴いた感触が凄く良かったので、すぐに購入したフランク・ペーター・ツィンマーマンの新譜『バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ Vol.1』。

CDを買う気になった最大の理由は、ツィンマーマンの弾くヴァイオリンの音の美しさと軽快ながらも起伏に富んだ歌い回しがとても心地良いこと、それに「アンダンテ」と「シャコンヌ」の演奏に惹かれたから。

ちょっと気になっているカヴァコスのバッハ無伴奏(2月発売予定)の「ルーレ」と諏訪内晶子の新譜を試聴ファイルで聴き比べたら、ヴァイオリンの音色・ソノリティの要素(線の太さ、力感、弾力、柔らかさ、減衰、色彩感、軽やかさ、切れ)とアーティキュレーションの両方で、一番好きなのが「レディ・インチクイン」を弾いているツィンマーマンだった。

バッハ : 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番、パルティータ第2番&第3番
(2021年12月28日)
フランク・ペーター・ツィンマーマン

試聴ファイル(BIS)
※プラケースではなく見開き2面の紙ケースで、CDは薄い白紙カバーに入っている。紙ケースの厚みが薄く、糊付けも不十分で一部剥がれている。装丁はシックなのは良いけど、薄くて出来の悪い紙ケースよりも、普通のプラケースかデジパックにして欲しかった。

録音場所は、《ソナタ第2番》と《パルティータ第2番》が独ホンラート福音主義教会(2020年6月8-12日)、《パルティータ第3番》がストックホルム・コンサートホール(2021年3月27&28日)。
教会とコンサートホールでは音響が大きく違う。教会録音は響きがまろやかで、残響が短く、フレーズ末尾の減衰音が絹糸のように細く軽やです~っと空間に溶けていくような感じ。コンサートホール録音は、残響が長めで伸びやかに鳴り響き、音の弾力と力感が強く、艶と輝きがある。コンチェルトならこちらの方が聴きやすい音になると思う。
バッハの無伴奏なら教会録音の方が落ち着いた深みと色彩感が感じられて、ヴァイオリンの音(と演奏)が美しい。
普通は3曲とも同じ教会で録音すると思うけど、《パルティータ第3番》だけストックホルムのコンサートホールで録音した理由がわからない(ブックレットには特に言及なし)。日程的に元々そういう計画だったのか、それとも、3曲目の録音時にドイツ国内で外出規制や教会の使用規制がかかってしまい、規制の緩いスウェーデンで録音することにしたのだろうか。

教会で録音した「レディ・インチクイン」の音色は色彩感も美しく音もまろやかで上品。シルクのような品の良い光沢ときりっと引き締まった張りもあり、尖りが少なくまろやかで、特に中音~低音域に深みがある。音が単線的ではなく複数の糸を編んだような膨らみが感じられ、低音と中~高音の音色の質感がかなり違うのでくっきりとした立体感のあるのがとても好き、太目の低音には重心の低い安定感があり、フレージングが曲線のように滑らか。
緩徐系楽章は(普通に)ゆったりしたテンポで、急速系の楽章のテンポはかなり速いので、緩徐系楽章とのコントラストが強く、テンポの速さと軽快で切れの良い音が颯爽として目が覚めるように鮮やか。曲中の強弱の落差も大きくてメリハリついて、音色の色彩感の違いも加わって、表情の彫も深い。短調の悲愴感や緊張感は抑え気味で、全体的に包容力のある懐の深さが感じられるところが、私の好みに合っているのかもしれない。

ツィンマーマンが演奏会のアルコールによく弾いている《パルティータ第2番》第3楽章アンダンテ。やや速めのテンポでリズミカル。アンコールで弾く時はリピートでも装飾せずにシンプルに弾いているけど、この録音ではかなり込み入った装飾音で弾いている。装飾音というよりは旋律そのものの音を増やしていると言った方が良いかも。シンプルな演奏も好きだけど、リピートが何度かあるので単調さを感じなくもなかったので、このオリジナルな装飾音の演奏はとっても面白くて聴き飽きない。

Violin Sonata No. 2 in A Minor, BWV 1003: III. Andante



シャコンヌはいつもブゾーニ編曲版の荘重華麗なピアノの響きで聴いているので、静謐な教会のなかに響きわたるヴァイオリンで聴くのは全く別の曲だと改めてよくわかった。昔はスークを聴いていて、さっきハーンと諏訪内晶子(コンクール時と新譜)のシャコンヌを聴いたけど、ツィンマーマンの音と歌いし回しは粘りが少なく、軽やかさと切れの良さもあり、力感・圧力感・情感が強すぎず私にはちょうど良い。透明感のある音色が明るく清々しい。中盤以降の長調に移ると軽やかで明るい響きが和やかで明るく、オリジナルな装飾音も加えた自由な伸びやかさのある開放感が爽やか。
演奏時間は若い頃のライブ映像とあまり変わらない。でも、ヴァイオリンが違うので音色が違うのはのはもちろん、今回の録音では力を込めすぎず軽やかで、フレージングもしなやか。強弱と硬軟の落差も大きく、表情も細やかになっている。ルバートを多用して音を引き伸ばしたり、時々オリジナルな装飾音(というか違う旋律)を弾いたり(気が付いたのは、5:02、10:06、10:13、10:26)、昔よりも自由で開放感のある演奏になっていると思う。Vol.1の演奏がとっても気に入ったので、未録音の3曲(Vol.2)も早く聴きたい。

Violin Partita No. 2 in D Minor, BWV 1004: V. Chaconne



他に好きな楽章は、《ソナタ第2番》「フーガ」と《パルティータ第2番》「クーラント」と「ジーグ」、次いで、《ソナタ第2番》「アレグロ」と《パルティータ第3番》《プレリュード》。(ジャンルや作曲家に関係なく、もともとテンポの速い曲(とフーガ)が好きなので)

Violin Sonata No. 2 in A Minor, BWV 1003: II. Fuga


Violin Partita No. 2 in D Minor, BWV 1004: II. Courante


Violin Partita No. 2 in D Minor, BWV 1004: IV. Gigue


タグ:バッハ ツィンマーマン

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